■この子と私　〜そしてついに〜

私が写真を始めた頃は既にXD、X-700の時代でしたが、

当時の最高級機種

としてX-1MOTORがラインナップされていました。

デビュー当時（1977年）は、未だニコンF2/CanonF-1の時代でしたので、最高級機で自動露出を備えたカメラが珍しい時代でしたが、1980年代に入ってからはニコンF3/CanonNewF-1が登場し、それも普通になってきていました。
それでも標準価格は￥283,000と、

モータードライブ付のニコンF3より高価

なカメラでした。（F3Body：￥104,000、MD-4：￥55,000)

学生当時、地元にカメラの展示会が来たときに、おそるおそる触らせてもらったのですが、シャッターが切れず、？を連発していたところ、係の人が

「これはね、裏蓋を明けると切れるんだよ」

と優しく教えてもらったのを覚えています。
翌年、再び展示会が来たときに得意げにシャッターを切ってみたところ、係の人（前年とは別の人）に「おっ、さすがですねぇ〜」とおだてられたのもいい思い出です。

それから十ん年、心の中ではずっとこのX-1MOTORへの憧憬があったのだと思います

初めてのオークションでXEを手にした私の次のターゲットはX-1MOTORでした。

しかし、元々タマ数が少ない上、程度の良いものは結構な値がする(当時は20万〜30万くらい）ため、なかなか手にすることができずにいました。

ようやく手にすることができたのは、新宿の某カメラ店の中古市の目玉商品予告一覧の中に、このX-1MOTORを見つけたときでした。値段は相場の約ナナ掛け！。
でも聞くところによると、熱心な人は始発の電車で駆けつけ、店の人が来る前から並ぶらしい。
タマは一つなのでかなり熾烈な競争を覚悟しましたが、開店時間に行った私は運良く手にすることができました。

それでも私にとっては大金でしたので

初めてローンで買ったカメラ

となってしまいました。（＾＾；

■Impression

十ん年ぶりで手にすることができたX-1MOTOR。その感触は期待を裏切らないものでした。
見た目でも、圧倒的な存在感を放つグリップ、ここまで

豪快に彫り込んだ形状のグリップ

は、今となってはなかなかお目にかかれないと思います。
そんな曲線的なグリップとは対照的に、ボリュームたっぷりの

直線的なペンタカバー

がひときわ異彩を放ちます。
好きなヒトにはこの両者がとてつもなくマッチしているように見えることが、このX-1MOTORの魅力ではないかと思います。

細部を見ていくとデコボコが多く、如何にも70年代を彷彿とさせるスタイリングですが、各部の建付けは良く、 使ってみると見た目以上に

最高級機然とした質感の良さ

を味わうことが出来ます。

自動巻上げは最大秒間3.5コマと当時にしても控えめですが、X-700＋モータードライブ等と比べて、より金属的な音で、結構シビレます。
手巻きの場合は、XE／XD等と比べると、およそ滑らかとは言い難いのですが、悪名高いNewF-1などと比べると遙かに滑らかです。もっとも

自動巻の音が心地よい

ので、フィルム装填時くらいにしか使いませんが。

仕上げに関しては、XDのブラックアルマイトには一歩譲りますが、X-1と同様に厚みを感じさせるヌリの良さが光ります。

難点は、バッテリーパックがプラスチック製で、特に

電池蓋が壊れやすい形状

であること、また、

■中古相場

＜2006年1月＞↓
タマの少なさは相変わらずですが、 相場の下落は確実に見られるようです。（それでもミノルタX一眼の中では別格の相場ですが。。。）
完動品で10万〜15万といったところでしょうか。

＜2003年3月＞→
もともとタマ数が少ないこともあってか、ネットで見掛けることはほとんど無く、年に2回ほどなのですが、昨年はいっとき3件ほど続けざまに出てきたことがありました。不思議なもので、ネットの持つ共時性のようなものを感じてしまいました。

数が少ないこともあって、相場はあって無いようなものですが、
一部に難あり品（たとえば"電池蓋が壊れている","ドライブが不調"など）であっても5万から10万ほど、完動品であれば大体15万〜20万ほどと言った感じのようです。（店頭の場合は20万〜30万くらいでしょうか）